ご注文の都度、製本会社からできたての本がお手元に届きます。
製本直送.comまたはBCCKSより印刷・製本・配送となります。
決済方法・配送料は各社の規定に準じます。
表題作『すべて星のかけら』を含む5編の掌編や連作を収録。心象によってつくられた、どこかの町のどこかの人々の小さなおはなしたち。
[収録作品]
『すべて星のかけら』
少女の片恋から始まる十編の連作。誘拐犯、写真家、Tele Vision、砂嵐テレビ、あね、おとうと、木蓮、秘密のねつ、ひまな店、星のかけら。どこかで誰かが何かがすれ違い関係している。袖すり合うも他生の縁。そしてみんな星の、地球のかけら、小さな分身たち。
『王様と番人』
しょんぼりしがちな王様と誇り高い百人の番人のおはなし。
『長月日記』
ある年の九月、毎日綴った小編連作。
『「ミドリコ、」』
大切なひとを失った時から夏至に行うミドリコの儀式、髪を切り、瓶に封じる。忘れていってしまう自分を保管する。ある夏至の日、太陽の魔法が髪を人に変えて……
『角砂糖』
淡水人魚のうつくしさに魅かれる〈僕〉が魔法使いとの契約に囚われてゆく幻想掌編。
◆2023年2月22日発行
◆価格:715円
◆96ページ・新書判
◆印刷・製本・配送:製本直送.com
夏祭り、約束の時間に現れない〈あいつ〉
楽しげな人の群れにぽつんと佇む〈わたし〉は、神社の裏の暗がりにトランクを広げる、うさんくさい露天商の灯りに引き寄せられる。キツネのお面をかぶった男の子が、そっとトランクに何かをいれた。それを手にした〈わたし〉に露天商が話しかける。
「ムーンの味に興味はありませんか?」
……もう一度会いたい人がいる……
ムーンドロップは、そういう〈わたし〉の物語です。どんな夜にも、月は空にいて、きっとあなたの声を聞いています。
◆2019年12月29日販売開始
◆価格:792円
◆48ページ・新書判
◆印刷・製本・配送:BCCKS
暮らしてみませんか?
ここはひとが植物になる街です。
種を植えられた人間が植物と化しながら暮らす雨ヶ崎植物研究所、通称〈緑街〉
双子のきょうだいに裏切られて緑街に連れてこられたキイ。
もうどうなってもいい。いつ植物になってもかまわない。ただ、ベッドでその日を待つ……しかし、それを見過ごせないウキシマによって、キイは街のなかへともどされる。
親切なフウコに心を寄せたキイだったが、ある月夜、フウコは梅の木になってしまい、そこからキイの緑街での本当の暮らしが始まる。
◆新装版2018年5月3日発行
◆文庫判 170ページ
◆ 価格:848円
◆印刷・製本・配送:製本直送.com
「お願いです。おねえさんの探偵事務所で、おとうさんを探してください」
赤いピエロ鼻が原因でケンカ別れした、お父さんと娘。
お父さんは世界の果ての山へ。娘は船に乗りこみ、はるか東の大陸へ。
それぞれの時間は流れ……
町には〈アカパナパン〉と呼ばれるとびきりおいしいパン屋があります。
なんでアカパナパンなんて呼ばれるかっていうと、パン屋の主人は代々真っ赤なピエロの鼻だからです。その鼻はものすごく優秀で、三軒離れた家の夕食の調味料だって嗅ぎわけます。そういう鼻で上質の材料を選び、極上の焼きあがりを嗅ぎとるのです。アカパナの家には娘がふたりいます。妹は奥さんに似たかわいい鼻。長女にはアカパナが伝わりました。アカパナのせいで長女はいつも男の子たちにからかわれてしまいます。
「自分がこんな赤くてみっともない鼻をしているのはお父さんのせい」
長女はアカパナのお父さんとケンカして、家を飛び出し、停泊する船に乗りこみました。お父さんはというと、酒場で呑んだくれ、あやしい人物と契約を交わします。それは「雲と引き換えに、長女のアカパナを普通の鼻に治す」というもの。
長女は船に乗せられたまま東の大陸に、お父さんは西へそびえる世界一高い山を目指す旅に、それぞれ向かうことになったのです。理由もわからないまま残されたお母さんと妹のもとへ、ふたりからの手紙が届き始めて、それぞれの時間が紐解かれてゆきます。
◆初版2017年10月6日発行
◇全四章「店主の手帖」収録