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宮城県美術館でクレーと再会

修繕の終わった宮城県美術館に行きました。

カンディンスキーが展示されているのが昨日の前期までだったので、すべりこみ。

以前は常設展示にあったパウル・クレーにまた会いたいなということも大きく。

 

今回、『宮城県美術館リニューアルオープン 全館 コレクションで魅せます 美術の時代』ということで、ほんとうにもう一挙にさまざまな作品が展示されていて。

あのころ見た、とか、あの時あの人が好きだと言っていた作家だ、とか、あと、和式トイレがしっかり洋式になっていて、足が悪くて展示に行くのをためらっていた人のことを思い出したりしました。

 

ひとつひとつの作品に注がれた時間を、その線や絵の具の重なりをなぞって追いかけ、その絵が描かれていた時、至近距離に、確かに、作家がいたのだということを思って今ここにはありもしない姿を想像しました。

 

それで、時代ごとに展示された流れのなかに、パウル・クレーの作品がたくさんあって、うれしいのなんの。

たくさんのすばらしい作品が展示されているのですが、なんというか、クレーはわたしにとっては特別です。

わけもなく涙がにじんで、郷愁というか、強烈な懐かしさ、憧れ。

生まれてくる前の世界の風景がそこにあるような、帰りたくなるような。

最初にクレーを知ったのは確か十代の終わりか二十代の初めか、本屋さんでした。

谷川俊太郎さんがクレーの絵から詩を綴った本だったような気がします。

それか、両手におさまるくらいの画集だったか。

それで、時間をおいて、二十代の終わりあたりに、坂の上にあった以前の多賀城図書館に通っていたとき、クレー関連の本がいくつもあって、夢中になったのでした。

ひとつの方法にとらわれず、新しい方法や手法を工夫していったクレーが好きです。

神話的な作品も、おさなごころとユーモアが感じられるところも、世界大戦下でも意思をしっかり握っていたように思うところも。

と、理由をこじつければいくらもこじつけられそう。

今回はただ、シンプルに、クレーの描いた『緑の中庭』、あの庭に帰りたい、という思いが強く残っていて、それだけでいいように思います。