crescendoは「だんだん強く音量を大きくして演奏する」という強弱記号です。
手のひらにおさまる、このちいさな本は、音が大きくなるように、言葉や気持ちがふくらんでいく物語です。
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目の見えない「彼」は雑踏の時計台に立ち、あるひとの足音を探しています。
それはいつかの日に彼の手を引き街を案内した女性です。
そのひとの靴音は、まるで星の落ちる音。
雲の溶ける音さえ聞こうとするその耳で、とうとう「彼」はよく似た靴音を捉えました。
でもその靴音は「彼女」ではありませんでした。
「彼女」ではない「彼女」は、「彼」の目が見えないことを知ると、「彼」の目になり、「彼女」を探すことを決めました
「彼女」からはじまったやさしい気持ち
それは、つらなって、ふくらんで、いつしか大きく響きます。
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◇YouTubeで立ち読みできます
◇2017年6月11日発行◇手製本◇全28ページ/箱入り◇【本体】横33×縦53×高さ14mm【箱】横41×縦55×高さ18mm(個体差あり)◇2012年共同企画展「おんさ」出展品
種を植えられた人間が植物と化しながら暮らす雨ヶ崎植物研究所、通称緑街。
すべての住人が自由意志で街へ移住するなか、キイだけは騙されてやって来た。
月へ触れようとして梅になったフウコ。腰から下が地面へ根づいたマダム・ピアノ。ふしぎな詩を歌う大銀杏の百年先生。最愛の鬼を失い腐敗していく水鉢画家。耳から発芽したギター弾きのミヤコグサ。両腕の代わりに羽根のような枝を得たアオキ。亡くした子と夫を心に抱きつづけるウキシマ。おしゃべりなラベンダー娘たち。隔離された森の屋敷にひとり生きるシェーレグリーン。キイはさみしさを内包する住人たちと交流しながら暮らしを取り戻していく。
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たどたどしい足取りで、それでも歩いていく。
不器用なキイの足跡を見守る先に、静かで、穏やかな、あたたかさが待っています。
◆文庫判
◆印刷 製本直送.com
◆初版発行 2017年2月11日 156ページ¥800円 (初版:オヒシバ栞・誤字通信付き)
タロとハナは不思議な映画が大好きです。
ほんの数十秒だけの儚い物語、ひとりの男の一生に寄り添う八十年以上の長編上映。
ふたりが住むのは映画館のない町。
「いつか映画館をつくりたい」
それがふたりの夢です
「でも、今すぐにも町の住人に届けたい映画がある」
なので、ふたりは町のいたるところで、映画を上映して回ることにしました。
「夢を叶えるために夢を映す」
◇Twitterおはなし手帖@ohanasitechoでつぶやいたちいさな物語から架空の映画ポスターを起こし、タロとハナの上映活動の記録として、手づくりの本へ封じました。物語の入り口を集めた本です。
22冊の限定品として、本は完売しましたが、動画に記録したものをご覧いただけます。
不思議な夢の世界をどうぞお楽しみください。
◆2017年5月7日発行
◆手製本 限定22冊 ¥1600円(完売)
◆サイズ:縦120×横117×幅28mm
◆八編の映画ポスターとその上映記録
◆原材料:ポルカ(カステラ90 アケビ90) チップボール ブンペル(ナチュラル95) GAファイル(ブルージーン310 ココア310) クラフト紙 寒冷紗